Tier 4 を含めた、米国におけるあらゆる排ガス基準は、空気汚染の低減を目的として制定された Clean Air Act (1963)に端を発しています。このクリーンエア法の施行責任機関である米国環境保護庁(EPA)は、1990 年代の中ごろに長期計画を立て、「段階的に」規制を強化することにしました。すなわち、ディーゼル排気に含まれている微粒子(PM)や窒素酸化物(NOx)といった危険物質を何年か掛けて段階的に減らそうと計画したのです。その「最終」段階であって技術的に最も難しい第四段階、エンジンメーカーにとってもターフ機器メーカーにとっても最も厳しい段階が Tier 4 なのです。 排ガス中の PM の量はすでに相当程度まで低減されているのですが、Tier 4 排ガス基準ではそれをさらに 90% 減らすことを要求しているのです。 この Tier 4 基準がどれほど厳しいものかを理解していただくために説明すると、米国の多くの場所では、Tier 4 適合エンジンの排ガスは、エンジンが取り込む空気よりもきれいになっているのです!
EPA の Tier 4 基準が最初に適用されたのは、公道を走行する大型車両(セミトレーラなど、ディーゼルエンジンを搭載した大型トラック)でした。その後、すぐに、大型のオフロード機器(農業用機器や建設機械)が対象となりました。それぞれの導入段階において、出力が 75 馬力(hp)を超えるディーゼルエンジンを搭載した車両は、所定の期日までに規制をクリアすることを要求されたのです。ターフ産業においては、業務用として利用されるディーゼルエンジンのほとんどは、25-74 馬力のものですが、Tier 4 ではこの範囲のエンジンを使用するすべての機械を規制対象としております。