Tier 4 とは、米国環境保護庁(EPA)が策定した大気浄化のための連邦排ガス規制のうち、オフロードで使用される機械のディーゼルエンジンに対して適用される規制です。具体的に言うと、Tier 4 規格では、エンジンメーカーは、エンジンから排出される微粒子やチッソ酸化物(NOx)のレベルを、これまでよりも 50~96 パーセント減らすことを義務付けています。エンジンメーカーだけでなく、こうしたオフロード機器(大型のロータリーモアやリールモアなど)を製造しているメーカーも、この新しい Tier 4 適合エンジンを採用し、各機械からの排ガスが規定値に収まるようにしなければなりません。
1990 年代の中ごろ、EPA は、オフロード機器用に採用される新しいエンジンに対する排ガス規制を段階的に強化することを決定しました。Tier 4 は 「第四段階」という意味であり、これが最終規制となります。こうした規格は、有害物質であるチッソ酸化物と微粒子の大気中排出量を徐々に減らして行くことを狙いとしています。ただ、非常に複雑な仕組みになっており、エンジンの大きさ(馬力とkWh)などによって期限が決められています。排ガスを浄化するという道のりを考えた時、その最初は “Tier 0” とでも呼べるでしょうか、すなわちディーゼルエンジンに何ら近代的な規制の網がかかっていなかった時代です。そして、Tier 4 がその最後の段階。これが実現すると、以前のディーゼルエンジンと同じ出力のエンジンの排ガスには、もはや微粒子も窒素酸化物も事実上含まれていない、というほどの進歩になるのです。
ざっくり言うと、出力 25 馬力以上のディーゼルエンジンを積んだマシン全てが何等かの影響を受けます。そしてこれらの製品のほぼすべてが、リールマスターまたはグランドマスターなのです。以下に、該当機種を挙げましょう。
グランドマスターロータリーモア
リールマスター リールモア
マルチプロ
Toro などのメーカーでは、エンジンメーカーと協力して、ターフ業界のための Tier 4 適合ソリューションを開発していますが、いずれにせよ、大幅な設計変更が避けられないため、どのメーカーでも概算で製品価格の 15% 程度のアップは避けられない見通しです。 Tier 4 をすでに経験している他業界(セミトレーラトラック、農業用機械、建設機械、コンパクトローダなど)を見渡すと、10%~18% 程度の価格アップは珍しくありません。
環境という視点から見ると、新しい Tier 4 エンジンの方がクリーンです。ただし経済的には、こうした新製品は購入価格がかなり高くなります。簡単に言えば、Tier 4 を買う方が、環境的に好ましく、社会的にも長期的な健康という観点から好ましいということです。今後もディーゼルエンジン搭載機器を使用しつつ、環境に優しい「グリーン」な企業でありたいと思うなら、Tier 4 ということになるでしょう。デメリットは、Tier 4 適合製品の価格は Tier 3 やそれ以下の製品に比べて大幅にアップするということです。
はい。これからの Tier 4 世代のエンジンやそれを搭載した機械には、超低イオウ軽油(ULSD)の使用が必要となります。燃料中の硫黄含有量が 15 ppm 以下の軽油です。ULSD 燃料は 2006 からハイウェイ用車両の燃料として使用されてきており、現在では広く使われている燃料です。(燃料について要求されている内容をより詳しく知るには、こちらへ:www.clean-diesel.org)
ディーゼル微粒子フィルタ(DPF)を使用している Tier 4 エンジンは、およそ 3000 ~ 5000 運転時間で所定のサービスセンターによる取り外し整備(清掃)が必要となります。これ以外には特別な整備は必要ありません。むしろ、現在のエンジンに比べて通常のオイル交換やフィルタ交換の間隔は長くなるでしょう。
連邦法および EPA 規制では、すでに Tier 4 規制が施行されていることを理由として、各メーカーに対して、米国のお客様に対しては Tier 4 適合機器のみを生産することを推奨しています。法律では多少の猶予期間などが定められていますが、最終的には、出力が 25 馬力を超えるディーゼルエンジンを使用するターフ機器はすべて規制をクリアすることが求められているのです!
とはいえ、機械の販売店であるディストリビュータは、在庫がなくなるまでは、旧規制(Tier 3)の製品を販売することができます。
ターフ機器の各メーカーはそれぞれが独自の技術や計画によってこの過渡期を乗り切ろうとしていますから、規制変更についてどのような戦略で臨むのか、販売店に直接聞いてみるのが良いと思います。
米国外に輸出される製品については、EPA の排ガス規制(Tier 4)の対象外となっています。したがって、EPA の管轄外の地域においては、各メーカーともこれまでと同じ製品を販売し続けることも可能となっています。ただし、カナダや日本は Tier 4 と同様の排ガス規制を導入していますから、これらの国に対しては Tier 4 製品しか販売できません。
現在お持ちの機械は規制対象にはなりません。そのまま、通常の寿命までお使いいただくことができます。Tier 4 規制は「新しい」エンジンにのみ適用され、カリフォルニア州を始めとする全米全ての州で対象となります。連邦レベルでは、新しい Tier 4 規格に合わせて既存のエンジンを改造するなどの必要はありません。ただしカリフォルニア州では、オフロード車両やオフロード機器についてそのような改良を求める法案を検討しています。更に詳しい情報の入手先はこちら:www.arb.ca.gov/diesel
現状のままで Tier 4 をクリアしています。
はい。バイオディーゼルは環境保護庁(EPA)の認める燃料および燃料添加物であり、カリフォルニア大気資源委員会(CARB)が定めたクリーンディーゼル規格を満たしています。また、連邦政府のエネルギー省(DOE)および交通省(DOT)では、ニート(100 %)バイオディーゼルを代替燃料として指定しております。
Tier 4 エンジンでバイオディーゼル燃料を使用した場合、燃焼プロセスや燃焼温度の違いにより、排ガス処理機器の性能や寿命に影響を与える可能性があります。Tier 4 エンジンで使用できる燃料や燃料添加物については、機械メーカーやエンジンメーカーから丁寧な説明をお受けになることをお奨めします。
いいえ。非常に複雑な改造や改良が必要となりますので、弊社では現在稼働中の非 Tier 4 製品をそのように「改造」することはお引き受けしておりません。
Tier 4 適合のターフ機器は:
以上に挙げた相違点は大きな相違点のみであり、実際に Tier 4 規制をクリアするためには、ため息の出るほど多くの変更が必要なのです。